“Come on all you dancers, I have been dancing all my life, but the only count I know is Count Basie.” Dawn Hampton
ダンスを習う時、普通はカウントを取ります。「1は右足から〜、3で前へ〜」といった風に。でもリンディホッパーの生きる伝説、フランキーは割と最近までカウントでダンスを教えることができなかったそうです。(カウントを数え始めると、わからなくなって、間違えたり、ヘタすると機嫌が悪くなるとか…)
海外でワークショップを受けていると、カウントで教えない先生というのはたまにいます。とある先生は、カウントもなければ、説明もほとんどなし。生徒がポカンとしていると、無言で両目を指さします。…目で見ろ、と。英語のわからない外国人にとっては、まー同じことなんですけど…。
カウントの代わりに「シャギデシャギデシャギデシャギデ…バ、ブン!」とか「ビラッパラ、ディビダ、ブンブン、ア、ビダ!」とか呪文を唱える先生も結構います。この呪文、最初は面食らいましたが、ジャズを聴きこんでいくと、ヘタにカウントを取るよりもその方がジャズっぽくていいような気がしてきました。
リンディホップのステップは主に8カウントがひと括り。でも実際には、8と1の間に動き出したり、カウントの間をさらに細かく割っていく必要があります。シンコペーションと言ってしまえば簡単ですが、シンコペーションの取り方にもいろいろあるわけです。例えば上記のピラッパラなんていうのは、カウントで言おうとすると8と1の間から始まるのですが、8と1のちょうど真ん中なのか、ちょっと1寄りなのか、8寄りなのか…。数であーだこーだと考えると、ワケがわからなくなるのですが、でも実際に曲に合わせるとすんなりわかったりする。
もちろんやっぱりカウントというのはとっても便利で、ステップの構造を覚える時にはとくに役立ちます。ただ実際に踊る時に、1,2,3,4…と数えることにあまりにも集中してしまうと、ロボのように機械的になってしまいます。いい音楽を聴く時に、数字で数える人はいないと思います(何か特殊な目的がない限り)。だからやっぱり、音楽を感じて踊るにはどこかでこのカウントというのと決別しなくちゃいけない気がします。いってみれば自転車の補助輪のようなもの。最初は必要だけど、上手くノれるようになったら、外しちゃってもいいのじゃないかと思います。