アフロ・アメリカンによるダンスのルーツはアフリカ、そして奴隷船が到着した西インド諸島に辿ることができます。アメリカにおけるダンスの歴史をまとめた本「Jazz Dance」によると、チャールストンの動きは、西アフリカのイボ族の踊りに似ているといわれ、トリニダードドバコにも同じような踊りがあるとか。またリンディのステップはシエラレオネやトリニダードドバコの伝統舞踊に似た要素が発見できるそうです。
「Jazz Dance」には、アフリカンダンスの6つの主な特徴が書かれています。
1 裸足で大地で踊ることから、主に足の裏をぴったり地面につけ、足を滑らせたり(gliding)、ひきずったり(dragging)、小刻みに踏む(shuffling)ようなステップが多い。西欧のダンスにある床で靴音を鳴らすような動作はほとんど見られない。
2 腰を落とし、ひざを曲げ、かがむような姿勢をよく取る。西欧発祥のダンスでは、背筋をぴんと伸ばした直立姿勢を取り、またその姿勢を保つことが重要だが、黒人の姿勢はより流動的である。
3 鳥やうさぎなど動物の生態を、精細に真似る。
4 即興性を重んじる。
5 体の中心から動かす。足はひざからでなく腰から、手は肩から。頭や肩の動きも骨盤周辺から動きが発生する。
6 アフリカ独特のリズムージャズのスウィング感にも似た、推進力のあるリズムで踊られる。
この6つの特徴はほとんどそのままリンディの特徴にもあてはまります。また姿勢や体幹の使い方など大筋はロッキングやブレーキングなど現在のストリートダンスにもやはり受け継がれているといえます。
踊る姿勢の違いについて「神は天にいるものと思っている民族から生まれたダンスは、上を見上げる。神は地にいると思っている民族は、地に根ざすように踊る」という興味深い説を聞いたことがあります。
ダンスの本質的な部分を見ていく時、それがどこから来たのか、人種や文化的バックグラウンドは大きなヒントになると思います。