リンディホップはジャズに合わせて踊るダンスですが、現在のダンススクールなどで教えられているいわゆる「ジャズダンス」とは異なります。一般的にいま「ジャズダンス」と呼ばれているのは、ブロードウェイのショーダンスなどをもとに発展したスタイル。「Modern Jazz Dance」ともよばれ、ジャズやそのリズムとはそれほど密接な関係を持っているわけではありません。
「Jazz Dance」という言葉の定義は時代によって変化しています。タップダンスを指すこともあれば、リンディホップを含むスウィングダンスやチャールストン、ブラックボトムなど初期のジャズとともに踊られていた一連のダンスを指すこともあります。
20世紀に入ってジャズの流行とともにさまざまなステップ、ダンスが生まれますが、リンディホップやその時代のダンスにとって重要な要素となっているのが「ジャズステップ」とよばれるもの。 Fishtail、Fall off the Log、Pimp walk、Pecking、Camel Walk といったユニークな名前から想像できるように動物や人間の仕草を真似ているものが多くあります。そのルーツはアフリカの民族舞踊にありますが、ジャズ特有のリズムで踊られるのがジャズステップの特徴。リンディやタップなどに取り入れられる他、ボードヴィルのステージなどでも効果的に使われていました。Shorty George など、当時のダンサーの名がつけられたジャズステップもあります。
こうしたジャズステップやリンディホップなど、ジャズとともに踊られていたダンスは、上述の「Modern Jazz Dance」と区別するために「Authentic Jazz Dance」「African-American Vernacular Dance」などと呼ばれることもあります。